前回は「五月病」についてニュースで紹介しました。
五月病は世界にもあるのでしょうか?
今回は世界にも五月病があるのか、日本語学習者に聞いてみました。
〈韓国〉
春困症(춘곤증:チュンゴンチュン)
韓国で春になると話題になる春困症(춘곤증:チュンコンチュン)。春になると体が気だるくて、疲れやすい、日中ずっと強烈な眠気がするという症状です。
これは医学用語ではなく、春になるとイライラしたり、ダルくてやる気が出なかったり、お腹の調子を崩したりします。多くの人が同じような悩みを抱えるので、こう呼ばれているそうです。
韓国で日本語教師をしていた時もこの言葉を聞きました。私自身も3月は常に眠かったように思います。これは単なる寝不足の可能性も?(笑)
韓国では3月が新年度の始まりで、生活の環境が変わったストレスが原因ともいわれます。日本の五月病とよく似ていますね。
〈アメリカ〉
「September blue」
「January blue」
9月が年度替わりのアメリカでは、日本の五月病に似た症状として、「September blue」、クリスマスの楽しい休暇明けに起こる「January blue」という言い方があるそうです。英語で「Blue(青)」は憂鬱な精神状態のことを言います。
「多くのアメリカ人は家族と共にクリスマスを過ごして、お正月を友だちなどとパーティーをして迎えるので、1月の仕事始めや新学期を迎える際に憂鬱になる事が多いようです。
また12月のパーティーで使ったクレジットカード請求なども1月に来るので、経済的な理由でも1月に憂鬱になる人も多いのだそうです。
〈中国〉
五月忧郁症
五月病は日本から輸入された言葉で、今では中国でも五月病が多く知られているそうです。中国では、一般的には「季節性怠惰症候群」、医学的には「季節性うつ病」と言うのだそうです。
中国のサラリーマンや学生たちにも、気分が落ち込み、夜に眠れず昼間に眠くなり、仕事や学習に身が入らなくなる時期があるそうです。
中国では、9月が新学期のスタートです。その約1カ月後には「国慶節」(毎年10月1日〜7日)のゴールデンウイークを迎えます。
中国では『季節性うつ病』国慶節の後や、「春節」の後に五月病の症状が現れるのだそうです。
また、「春節」(旧歴の正月)後に工場など生産ラインで働く従業員の離職が目立つことはよく知られていているそうです。
いかがでしたか?
今回は私の学習者の出身国の五月病について紹介しました。
こうして海外の五月病事情を調べてみると、お国柄が見えて大変興味深いです。
日本のゴールデンウィークになじみのない海外の人には、日本独特の「五月病」について、
ぜひ紹介してあげてくださいね。
また、日本語の授業や異文化理解の授業などでもさまざまな学習者の国で
「五月病」があるかどうか、調べて、それぞれの国の五月病に似た症状を紹介してもらうのも
異文化理解が深まり楽しい教室活動になりますね。
日本語教師の皆さん!
多国籍の児童生徒がいる小中高などで異文化理解の授業をされている皆さん!
ぜひ、授業でも取り上げてみてくださいね。